Classici giapponesi con furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Leggi 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.586 caratteri · 348 schermate
酒の飲み方がどういう風に変ったかは、書物を読んでみても一向に書いてはない。しかも知ろうと思えばその方法は別にあるので、殊に最近の歴史だけならば、多くの人たちは自分でもまだ覚えている。大体に一人一人の飲む分量が、半世紀前と比べてはよほど減ったかと思われる。下戸の増加したこともたしかであるが、それよりも大酒飲みという人が少なくなり、平均消費は減退の傾向を示している。いわゆる斗酒なお辞せずという類の酒豪の逸話は、次第に昔話の領域に入って行こうとしている。もとは正月の街頭風景であった生酔いの礼者、
なまよひの礼者を見れば街道を横すぢかひに春は来にけり
などと詠まれたものが、絶無でもあるまいが今日はよほど珍しい見ものになった。酒乱は一種の病気と認められ、その療法としてはたちまち禁酒を申し渡される。以前は御祝いの日の附き物であった例の小間物屋開店などの惨澹たる光景も、知らずにしまう女子供が多くなってきた。是などは明らかに一種急性の中毒症状なのだが、或いは主人側の款待が是ほどまでに徹底して効を奏したという証拠のごとくにも解釈せられ、もとはこの介抱だけは眉を顰める人もなく、普通に酒宴の後始末として女たちが引き受けていたのである。