Classici giapponesi con furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Leggi 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.586 caratteri · 348 schermate
二
二
酒は末法時代の濫用妄用が起こる以前、飲むべき者に必ず飲ましめるのが一つの式であり、勧酒の歌はすなわち作業歌の一種であった。従うて是に参与する女の役目は、思ったよりもむつかしいものであったのである。彼らを兵馬の間に伴ない得ざるために、眉目清秀なる少年をしてこれにかわらしめた世の中になっても、肴をするというのは扇を膝にして歌うことであり、または起って一さし舞うことであった。この風は今でも正式の饗宴には伝わっている。決して埃だらけの刺身や蒲鉾を、むしゃむしゃ食うばかりが肴ではなかったのである。座客が日ごろ親しみの無い他郷の人であり、もしくは作法を弁えぬ武骨者ばかり多くなると、ただの女性はいよいよその任務に堪えず、次第に専門の修練を経てきた者にこれを委ねる傾きが、都市には著しくなってきたのである。
この酒礼は田舎ではなおしばらくは厳重に守られていたようである。常に酒甕に酒の貯えが無く、これを用いる機会がきわめて限られていたという以外に、席に列する者が互いに心を置かぬ人たちであって、歌を声高く歌っても、蓮葉とも何とも思われる懸念が無かったからである。酒宴を我々の国語でウタゲと謂った心持は、女性の最も熱心なる参与が無ければ、実は理解することのできぬものであった。