Classici giapponesi con furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Leggi 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.586 caratteri · 348 schermate
そうしてこの頃すでに日本の人口は二千万近くもあったらしいのである。その中の一少部分は資力があった、真綿を入れた絹の小袖も着たことであろうが、この絹もまた古くから我邦にあったとはいいながら、その生産高は今日の輸出時代に比べると知れたもので、多分は百分の一にも届かなかったと思う。現に江戸初期の長崎貿易は、主として支那からの絹糸の買入れを目あてとしていたくらいで、かの土井大炊頭の糸屑の逸話が、読本にも載っていて女たちもよく知っている。その上にまた絹のいずれの点から見ても、決して働く人々の着物の料とするには適しなかったのである。
然らば多くの日本人は何を着たかといえば、勿論主たる材料は麻であった。麻は明治の初年までは、それでもまだ広く栽えられていた。その作付反別が追々と縮小の一途を辿っていたことを、世人は木綿ほどに注意していなかったのである。都会の住民は夏も木綿の単衣を着て、年中まったく麻を用いない者が増加するのであるが、それでも地方には未だ相応にこれを着ていたのだったということが、気をつけているとやや判ってくる。
先頃熊本県の九州製紙会社を見に行ったときに、私は紙の原料の供給地を尋ね試みたことがある。