Classici giapponesi con furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Leggi 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.586 caratteri · 348 schermate
信州筑摩・安曇の各村などでは、この一年一度の大切な祝の日を、普通にはコバシャゲと謂っている。そうしてやはり何故にそう謂うかを忘れた人が多いと見えて、転じては何の事務でも、完成したという意味にこの語を使っている。コバシャゲは隣の富山県ではコエバシアゲ、新潟県に行くとコロバシアゲと謂う村もあったが(『温故之栞』廿一)、要するに稲扱道具を片づけるということであった。アゲルというのは「しまう」こと、コバシは正確に謂えばコキバシすなわち扱箸であった。信州は北の境の下水内郡、美濃の山県郡、三河の宝飯郡などでも、以前の稲扱道具をコバシと呼んでいたことが、それぞれの郡の方言誌に見えている。佐渡の島は色々と古い言葉の遺っている土地であるが、彼処にもまだコキバシまたはコイバシという名だけはあった。コクという動作が重要でなくなってから、この動詞も追々に不用に帰し、単にコキオロスとかシゴキとかいう複合形の語だけに、その残影を留むるまでになったが、それでも方言の間には少しずつ用いられている。農業の方でも大豆とか胡麻の実とかを落す時に、稀にはこの動作を必要としている土地もあるらしい。