Classici giapponesi con furigana
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ざくろ
柘榴
山本 周五郎
Leggi 柘榴 (ざくろ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.342 caratteri · 25 schermate
三十余年も賑やかな局ぐらしをしたあとではあり、はじめは流人にでもなったような寂しさだった。夜になると燈火を二つも三つも点けたり、いねを自分の寐間へ一緒に寝かせたり、どうしても眠れないので、しばしば夜半に酒を舐めたりした。冬のかかりにいちど鹿が迷い込んで来た。そのとき真沙は松林の中でまんりょうを採っていたのだが、落葉を踏むあらあらしい音を聞いて振返ると、つい鼻先に身の丈九尺(本当にそう思った)もある牡鹿が立っていた。栗色の斑毛と、恐ろしい枝角と、そしてぎらぎら光る眼とが、いっしょくたになってこちらの眼へとび込んで来た。自分では覚えていないが、非常なこえで叫んだそうである。金造が棒を持って駆けつけたときには、その鹿は林の下枝に角をひっかけひっかけしながら、田ノ窪といわれる方へ逃げていったという。「ひとつ鉄砲を買って頂くんですな。惜しいことをしました」老僕はいかにも残り惜しそうに、地境の外まで見にいったが、真沙はすっかり不安になって、雪の来ないうちに庭まわりへぐるっと竹垣を結わせた。
年が押詰ってから、とつぜん一人の老婦人が訪ねて来た。
「おわかりになって――」