Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
青色の絨氈をしいたその部屋に卓を据え、椅子にふかぶかと腰かけて花田中尉は酒をのんでいた。卓を隔てて女がすわっていた。そして酒瓶を左手で持ち上げた処らしかった。土民がよく着る簡単服に似た服装で、花田の方をむいていたが、窓の外に宇治の気配を感じたのか、鋭くこちらに視線をむけて立ち上った。頬のほくろが目立つ眼の大きな顔立ちである。誰かに似ている、と咄嗟に彼は思ったが、そのまま足音を忍ばせてすばやく窓の下をはなれた。見てはならぬ光景を見た気がしたのだ。彼は物かげにしゃがみ、或いは窓から顔を出すかと待ったが、その気配もなかった。ねっとりと夜風が肌を吹いた。花田が着ていた白い清潔そうな襯衣の色が眼にのこっていた。すべて奇異な感じであった。彼はじっとうずくまったまま、何か解明出来ぬ複雑な感情が湧き上って来るのを意識した。
その頃軍紀は既に乱れ始めていた。将校の中でも定められた宿舎に寝ず、女をつくってそこに通うものもあった。そんな将校を宇治は何人か知っている。旅団の副官をしていた大尉が民家で泥酔し女とダンスに興じていたのを兵隊に見とがめられたという事件も起った。