Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
拳銃を力無く下におろした。その時高城は角を曲ったらしく急に見えなくなった。曲る時一寸此方に振りむいたらしい。しかしそれも判然しなかった。宇治はふしぎな表情を浮べたまま、じっとそこに立っていた。
暫く経った。彼は頭を強く振るとのろのろと歩き出した。顔色は依然として悪かったが唇を堅く結び眼付が険しくなったのが、かえって生気が出たように見えた。逃亡の意志を自分一人に秘めて置かず、相手が高城にしろ吐き出してしまったので、気分はむしろ楽になったようであった。今朝隊長が、誰か射撃のうまい下士官を連れて行けと言った時、宇治は直ぐ高城のことを憶った。高城が射撃がうまいかどうか彼は知らない。が、すぐ高城のことが頭に来たのは何故だろう。宇治はその時はっきりと逃亡の決意をかためていたのだ。だから最も逃亡に加担しやすい下士官を選ぶべきであった。それにも拘らず彼は高城をえらんでしまった。昨夜の高城が報告する時の表情が頭にしつこく残っていたのだ。それは冷たく感情を殺した顔だった。宇治には判っている。高城は上官である花田を憎んでいるのだ。女と逃げて帰らぬ花田に、まことに通俗的な怒りを感じているのだ。