Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
酔って断れ断れになった意識の中で、私は必死になって荒涼たる何物かを追っかけていた。
翌朝、医務室で瞼を簡単に治療して貰い、そして峠を出発した。徒歩で枕崎に出るのである。生涯再びは見る事もない此の坊津の風景は、おそろしいほど新鮮であった。私は何度も振り返り振り返り、その度の展望に目を見張った。何故此のように風景が活き活きしているのであろう。胸を噛むにがいものを感じながら、私は思った。此の基地でいろいろ考え、また感じたことのうちで、此の思いだけが真実ではないのか。たといその中に、訣別という感傷が私の肉眼を多分に歪めていたとしても――
枕崎から汽車に乗って、或る小さな町についた。そこでバスに乗り換えるのである。しかし日に一回のそのバスが、もはや、通過したあとであった。
軍隊のトラックを呼び止めて、それに便乗する手は残っていた。しかしそれも物憂く、街の中央にある旅館に入って行った。そして飯をたべた。縁側に立って、夕方の空のいろを眺めていると、通りかかった若い海軍士官が私に声をかけて来た。私は、私の旅行の用向きを答えた。それから此の士官の部屋に行き、煎豆を噛みながら、暫く雑談をした。