Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
入院するよりも、直接ここに来ればよかった。その方が先だったかも知れない」
ずいぶん身勝手な理屈をこねている。その自覚は五郎にはあった。枕崎で飲んだ焼酎、峠であおったコップ酒が、彼の厚顔な言説をささえていた。それに相手が出戻り女で、気分的にもかなり荒れているという計算も、心の底に動いていた。
「おれは今、何かにすがりたいんだ」
五郎は女にささやいた。その言葉は、全然うそではない。四分の一ぐらいはほんとであった。彼はさらに腕に力をこめた。
「つながりを確めたいんだ。死んだ福や、双剣石や、その他いろんなものとの――」
「ああ」
女は胸を反らしながら、かすかにうめいた。それはやや絶望的な響きを帯びた。
「いいだろ」
相手をもどろどろしたものの中に引きずり入れたい。今はその嗜欲だけしか五郎にはなかった。
時間が泡立ち、揺れながら過ぎた。やがて静かな流れに戻った。五郎は立ち上り、ミツギのざらざらした幹に、しばらく背をもたせ、暗い海を見ていた。
「今夜、君の家に泊めて呉れないか」
かすれた声で五郎は言った。
「行き当りばったりで、泊るところがないんだ」
「うちはだめ!」
身づくろいをしながら、女は答えた。