Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

放牧の牛の姿が、ところどころに見える。

草千里というところで、ちょっと停車した。

〈あれは映画セールスマンじゃないか〉

そう気がついたのは、そこを発車してしばらく経ってからである。その丹尾らしい男は、前から三番目の席に坐っていた。坊中からいっしょだったのか、草千里から乗って来たのか、よく判らない。うつむき加減の姿勢で、時々頭を立てて、景色をきょろきょろ見廻す。黒眼鏡をかけている。五郎は視線を網棚に移した。見覚えのある小型トランクが、そこに乗っていた。

〈なぜ丹尾が阿蘇へ――〉

彼はいぶかった。しばらくして思い出した。鹿児島から枕崎へのハイヤーの中で、丹尾がそんなことを言っていた。すると丹尾は鹿児島での商取引は済ませたのか。五郎はじっと丹尾の様子を眺めていた。丹尾は洋酒のポケット瓶を取出し、一口ぐっと飲んで、またポケットにしまう。貧乏ゆすりをしている。何だか落着きがない。――

バスの終点でぞろぞろ降りた。かなり広い待合所がある。そこからケーブルカーが出る。壁にかかった大きな時間表の前に立ち、丹尾は見上げていた。五郎は近づいて、うしろから肩をたたいた。丹尾はぎょっとして振返った。