Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
足の下で死にかかっていると思うと、何だか悪いような――」
「そんな馬鹿なことがあるか」と天願氏がたけりたった鶏のような声を出した。「君は医者になるんだろう。そんな感傷的なことを言っては駄目だ」
「だって、じゃああんた行ってごらんなさい。不思議にいやな気持がするから」
「ぼくは先刻からここにいる。そして隣の部屋のうなり声を聞いた」と天願氏が昂然と言った。「それで平気さ」
私は黙って会話を聞いていた。種々の感慨が起って来た様な、それでいて言葉にしようとしたら皆逃げ出してしまいそうな空虚な気持であった。いらいらして、皆につきかかって行きたいような焦燥が起った。
「そんなもんですか」と旅川が言った。
風の音が少し烈しくなったようであった。ときどき、障子の破れに当って笛のような音を立てた。
「風が出て来たな」と私は誰に言うともなく呟いた。泥竜館は家で囲まれているのだ。風は露地から露地へ抜けて行く。露地の曲角では、風が生き物のような悲しい音をたてた。前の家で物干ざおが軒下から落ちる音がした。
沈黙が来るのが恐かった。何か話さねばならぬと思いながら、また疲労に似た憂欝を感じていた。