Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

「軍令部や東通の連中、いい配置かと安心していた奴等が泡食うぜ」

「太えしくじりとぼやいてもおっつかない」

「しかし関東平野は逃げでがあるだろう」

誰かが口をはさんだ。

「特攻隊は、出撃する様子かな」

暫く誰も口を利かなかった。その沈黙が、痛いほど私の背にのしかかって来た。その瞬間、投げやりな調子で、誰かが冗談を言った。

「どうせ来年の今頃は、俺達はメリケン粉かつぎよ。佐世保港かどこかで」

低い笑い声が起った。

「兵隊も準士官も無しよ。そうなれば」

突然、笑いを含まぬ質の違った口調が、その会話を断ち切った。

「馬鹿な事を言うなよ」

真面目な、烈しい声であった。笑い声が止んだ。私は身体を少しよじって、背後をぬすみ見た。

「兵隊の居る処で、不見識なこと言うのは止めろ」

吉良兵曹長であった。何時暗号室に入って来たのか、私は知らない。眺めているのもはばかられて、私は前にむきなおり、暗号書を繰るふりをした。そう言いながら、吉良兵曹長は立ち上ったらしかった。白けた空気の中から、

「冗談じゃないか。冗談だよ」

誰かが止める気配がした。

「誰も日本が負けるなどとは思っていないよ」

「冗談にしてもだ、言って良いことと悪いことと――」