Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
そして、鐘たたきを取ってチーンと鳴らした。一度で止せばいいのに、つづけざま二十遍ばかりちんちんちんと叩きつづける。香をひとつかみ掴んで香炉の中に投げこんだ。ゆらゆらと多量の煙がすすけた天井に立ち上る間に、天願氏が両手を合せて口の中でぼしゃぼしゃと言ったのが見えた。どうせ出鱈目を言っているに違いないと、私はひそかに思いながら後姿を眺めていた。
やっと重任を果したというような顔をして天願氏が戻って来た。香がまだ燻っている。煙が玄関を通って中庭の方に流れて行くのが、悠容たる趣きがあった。順々に皆が焼香する。私も人々にまじって焼香した。香のにおいを強く感じながら眼をつむって手を合せた。
告別式がすんで私達は天願氏の部屋にぞろぞろと集った。私達は其処で他愛もない無駄話に興じていると、下宿のおかみさんがやって来た。
「今から焼場に参りますけれども、皆さんもいらっしゃいますか」
来て貰いたくないけれど、形式的に聞きに来たという感じがはっきりと出ていたのである。
「参りましょう」と天願氏が大きな声を出した。私は天願氏の顔を眺めた。石のように無表情である。「さあ、出かけよう」