Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
私にとって、行きずりの男に過ぎない筈であった。滅亡の美しさを説いたのも、此処で死ななければならぬことを自分に納得させる方途ではなかったのか。不吉な予感に脅えながら、自分の心に何度も滅亡の美を言い聞かせていたに相違ない。自分の死の予感を支える理由を、彼は苦労して案出し、それを信じようと骨折ったにちがいなかったのだ。
(滅亡が、何で美しくあり得よう)
私は歯ぎしりをしながら、死体を地面に寝せていた。生き抜こうという情熱を、何故捨てたのか。自分の心を言いくるめることによって、つくつく法師の声を聞きながら、此の男は安心してとうとう死んでしまったのだ。
風が吹いて、男の無精鬚はかすかにゆらいだ。死骸は、頬のあたりに微笑をうかべているように見えた。突然、親近の思いともつかぬ、嫌悪の感じともちがう、不思議な烈しい感情が、私の胸に湧き上った。私は、立ち上った。栗の木の下に横たわった死体の上に、私は私のよろめく影を見た。
大きな呼吸をしながら、私は電話機の方に歩いた。受話器を取った。声が、いきなり耳の中に飛び込んで来た。
「グラマンはどうした。もう行ったのか」
「見張の兵は、死にました」