Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

ひどく苦しそうな笑い方であった。拳銃を持ち上げると笑いを止め、背を立てて右手を伸ばしねらいをつけた。彼の瞳と、照門と照星をつらぬく彼方に、窓の外に展がる密林の暗さがあった、太い幹や細い枝に蔓草がからみ、薄赤い小さな実が蔓のあちこちに点じている。拳銃をおろし安全装置をかけながら、彼は再び短いひからびた笑い声を立てた。そして床の上に痰をはいた。彼は昨夜の、花田の返答を高城から聞いたときの気持を思い出していた。

あの花田中尉の言い分は身を賭してつっぱなしたようなものであった。自身がたとい高級軍医であろうとも、命令が不当なものであろうとも、上官の命令を拒むことはどのような結果をもたらすものか、花田が知らぬわけがない。それがどのような具合に言われたのか昨夜の高城伍長の口裏では判らないが、しかしそれを聞いたときに宇治の背筋を、冷たい戦慄がするどく奔り抜けた。口腔の中が乾いて行くような不快な気持がそれにまじっていた。宇治は思わず視線を隊長の顔に定めたが、火影を背にした隊長の顔はただ暗く澱んでいるばかりであった。ただ軍刀の柄頭を握った隊長の手が小刻みにふるえるのを宇治ははっきり見たのだ。