Classici giapponesi con furigana
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えのきものがたり
榎物語
山本 周五郎
Leggi 榎物語 (えのきものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.519 caratteri · 67 schermate
「誰も知らないのだ、姉さまは本当は気だてのやさしい、賢い生れつきなのだ」と足助はいきり立った、「なかさまの本尊仏の話も、実際は姉さまの話がもとなんだ」
或るとき足助が、自分の小屋でいたずらに仏像を彫っていた。しろうとの見よう見まねで、ついに出来あがりはしなかったが、彫っているときに、さわが来て、それはなんだと訊いた。わけを話すと不審そうに、そんな木などで仏さまが作れるのかと反問した。そこで足助は、菩提寺の御本尊も木で作り金色に塗ったものだ、ということ。また、人がそれを拝むのは仏さまに対する信心であって、彫った木や塗った金色を拝むのではない、ということを話した。
「おらの云ったことは間違っているかもしれない」と足助は云った、「けれどもこれが本尊仏とお代官の問答の出どころだ、本人のおらが知ってるだ」
その話を信ずる者はなかった。足助はときどき大きなことを云う、彼が河見家へ飯炊きに雇われたのは、当時から二十年ほどまえの四十代だったが、そのとき「おらは江戸の八百善で板前を勤めた」と自慢したそうで、村では知らない者がないし、長いこと笑い話のたねになっていたから、彼の云うことに耳をかすような者はなかった。