Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
そのとき甲斐は「対等だって」という声を聞いた。くびじろの最後のなき声が、そう云ったかのように、感じられたのであった。
笹を踏みわける足音がし、与五兵衛と、一人の若者がこちらへ近づいて来た。二人とも鉄砲を持ってい、そばへ来ると、若者は雪帽子をぬいだ。痩せた蒼白い顔の、鼻の尖った、気の弱そうな男だった。
「誰が射った」と甲斐が云った。
与五兵衛は鉄砲を置いて、甲斐の脇へ跼み、どこをやられたか、と訊いた。甲斐はまた、射ったのは誰だ、と云った。与五兵衛は若者のほうを見て、それから云った。
「これが久兵衛という者です」
甲斐は若者を見た。若者はそこへ膝をついて、頭を垂れた。
「おまえが射ったのか」と甲斐が云った。
久兵衛は「へえ」と云った。
「このばか者」と甲斐は云った、「きさまはおれを覘って来たのだろう、なぜおれを射たなかった」
「殿さま」と与五兵衛が云った。
「なぜおれを射たなかった」と甲斐は叫んだ、「なぜおれを射たずにくびじろを射った、云え、なぜだ」
久兵衛は頭を垂れた。
甲斐は山刀を持ち直して「寄れ」と叫んだ、久兵衛は顔をあげた。甲斐はもっと寄れと叫び、山刀をふりあげた。