Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate

Aozora Bunko

「もしも律のそれが病気の一種であったら、鎮める手段がないという筈はない」と甲斐は云った。

だが律は健康であり、その欲求も良人のほかに対象はない。ただ良人を求める欲望の激しさと江戸にいる良人への疑惑と嫉妬とで、日も夜もなく悩み苦しんだ。――このままでは狂人になってしまう、と律は思った。――良人を忘れるくふうをしてみよう、苦しさに耐えかねて律はそう思った。

「そして、それをやったのだ」と甲斐は云った。

七十郎は甲斐を見、甲斐がそのまま沈黙しているので「それをとは」と訊いた。甲斐はしんと沈黙した。

「どういうことです」と七十郎がかさねて訊いた。

「それは云えない、それは律自身の問題だ」と甲斐が云った。

「では私がうかがいましょう、言葉を飾らずに云いますが」

いや、と甲斐はまた静かに首を振り、その必要はない、と遮った。

「七十郎の想像は違う」と甲斐は云った、「律は良人の私以外には、誰にも興味がもてない、どんな男にも愛情を感ずることができないんだ」

「では、それをやったというのは、どういうことですか」

甲斐はまた沈黙した。

襖の向うで、申上げます、という堀内惣左衛門の声がした。