Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

「冗談を云わないで下さい」

「知らないというなら嘘だ、知らないなんて云わせないぞ、腰元どもが禁を犯して、中の木戸の垣根越しに文を付ける、それも五度や十度ではない、ということをおれはちゃんと知っているんだ、まあ聞けよ、おれはそれを咎めるんじゃない、黒田が相手にしないこともわかっているよ」

つまるところ、腰元などが付け文をするのは、黒田の男ぶりにもよるだろうが、家中の評判のよいことの証明でもある、と弥兵衛は云った。玄四郎は腋の下が冷たくなるように思った。滝尾はべつとして、奥女中から付け文をされたことは幾たびかある。もう何年もまえのことだし、人の口にのぼったようすもないから、誰ひとり知る者はないと思っていた。

――どうしてわかったのだろう。

それが不審であるよりも、知られていたことによる自分の危うい立場を考えて、玄四郎はぞっとした。

「ずばっと云ってしまえば」と弥兵衛は続けていた、「おれの女房の妹を貰ってもらいたいんだ、年はちょっといってるが、縹緻もそう悪くないし、家柄は番頭で、ずっと奥勤めをしている、奥方づきでたいそうお気にいりだというから、将来なにかのときに役立つだろう、おい」