Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate
「よし帰れ、帰ってみろ」六郎兵衛は低い声で、突き刺すような、冷酷な調子で云った、「だがこれで縁が切れると思ったら間違いだぞ、きさまは酒井家の待、名も黒田玄四郎と覚えている、おれは毎日でも酒井邸へ押しかけてゆくぞ」
玄四郎は唾をのんだ。
「おい、玄四郎」と六郎兵衛は半身をのりだし、嘲笑するように云った、「きさまおれの妹になにをした、おれの妹になにをしたんだ」
「それは初めに云ってある、私と滝尾どのとはそれだけの縁だ、二人のあいだにはいま話したこと以外になにもなかった」
「ではこのふるまい酒はなんだ、なんのためにおれの機嫌をとり酒を飲ませる、なぜだ」六郎兵衛はそこで囁き声になった、「――それはな、きさまがみやになにかしていて、心に咎めることがあるからだ、そうだろう」
「いかにも貴方らしい」と玄四郎は云った、「滝尾どのから聞いた柿崎六郎兵衛という人間が、ようやく面をぬいであらわれたようだ」
「おれの云ったことに答えろ」
「答えたいが、よそう」玄四郎は刀を持って立ちあがった、「貴方を屋敷で小者たちから助け、ささやかだがここで酒をふるまったのは私の寸志だ」
「おれを、憐れんだというのか」