Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate
甲斐は文箱を取ってあけた。
安芸の手紙は簡単なものであった――。そこもとの意中はよくわかるが、自分の決心はもう変えるつもりはない。仙台で矢崎舎人に使いさせたとおり、こんどは老中評定までもってゆく、壊疽という病にかかったら、その足なり手なりを早く切り放さなければ、たちまちその毒が全身に廻って死をまねくという。酒井侯の示唆による一ノ関の奸策は、まったくこの壊疽の毒に等しい。いま断乎たる手段をとらなければ、毒は全身に廻って救い難いことになるだろう。自分は境論を主にして老中評定まで事をはこぶ、そこもとは機をみて、酒井侯と一ノ関との密約をもち出してもらいたい。その時期と方法とは、折をみて談合するとしよう。このたびは自分も死ぬ覚悟で、すでに菩提寺へ戒名を遺して来た。そこもとにも死を賭してもらわなければならないが、これは自分から云うまでもないことと思う。――およそこういう意味の文面で、終りに、湯島へたち寄るのは危険だから、麻布の中屋敷へはいるつもりである、と書いてあった。
甲斐はその手紙をすぐ火桶にくべながら、湯島へ寄るのがどうして危険なのかと、不審に思いながら、喜兵衛を見た。