Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate
うんぬんということばと共に、七十郎の口からじかに聞くような、いかにも彼らしく、軒昂たる意気が感じられ、それが甲斐の圧倒され、ふさがれた気持に、風を吹きいれたようであった。
「平六に風呂をやったか」と甲斐が庭を見たまま云った。惣左衛門は、いま食事をしている、と答えた。風呂をつかわせて、食事をさせている、まもなく此処へ来るだろう、と云った。
「七十郎どのが死罪になりましたそうで」
「彼らしく死んだようだ」
「平六から聞いたのですが」と惣左衛門が、感動した声で云った、「刑場に坐りましたとき、――人の首が前に落ちるときは、躯もまた前に倒れるという、だが自分は仰向けに倒れるだろう」
甲斐が静かに振向いた。
「自分は仰向けに倒れるだろう」と惣左衛門は続けた、「もし仰向けに倒れたら、自分に神霊があると知るがよい、三年のうちに一ノ関どのを亡ぼしてみせる、と申され、首が前に落ちましたとき、右の足を踏みだして、申されたとおり仰向けに倒れた、ということでございます」
「――ほかのようにはできなかったのだな」と甲斐は呟くように云った。
惣左衛門が、はあ、と訝しそうに甲斐を見た。甲斐は穏やかに眼をそらし、いや、とゆっくり片方の手を動かした。