Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

「十余日もおでかけを待っていたのだ、ぜひおめにかかって話したいことがある、柿崎六郎兵衛という者だ」

そしてその声は、原田どの、と駕籠のほうへ寄って来た。原田どの、と呼びかけた声は、けんめいで、少しふるえていた。

「無礼なことをなさるな」と村山喜兵衛が制止し、揉みあうけはいが聞えた。甲斐は眉をひそめ、六郎兵衛の、原田どの、と叫ぶのがまた聞えた。

「おろせ、――」と甲斐は云って、駕籠の戸をあけた。

喜兵衛に腕を押えられて、柿崎六郎兵衛がそこにいた。まるで酔いつぶれていた者が、そのまま起きて来たように、着物も袴も皺だらけで、乱れた髪毛が、血のけのない、蒼黒く憔悴した顔にふりかかっていた。

甲斐は「湯島へ来るように」と云おうとしたのであるが、そう云うまえに、二人の侍が来て、六郎兵衛のうしろに立った。

二人は向うの武家屋敷から出て来て、六郎兵衛を認め、それからこっちへ近よって来たらしい、どちらも中年の、浪人らしい男だったが、口髭を立てている躯の小柄なほうが、六郎兵衛のうしろから、「柿崎、出会ったぞ」と呼びかけた。

そのとき、甲斐は、その男の右腕がないのに気がついた。