Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

するとかよはすぐに、甲斐の膝へ腰をかけて、かよたんが折ったのよ、と持っていた折鶴を見せた。

「うそ仰しゃい」とおくみがにらんだ、「ばあやが折ったんでしょ、そんな嘘を仰しゃってはいけません」

「ええと、ええと、さいたんは七つでも抱っこをしますからね」とかよは話しをそらした。

おくみは、このごろかよが嘘をつく、とこぼした。よその子よりも知恵のつきかたが早いというのか、乳母や近所の子供などに、途方もないようなでたらめを云う。このあいだなどは乳母と日本橋(雁屋信助)へいって来て、おくみに、帰る道で火事があった、と話した。大きな火事で、家が百も焼けて、犬が千疋も死んだ、とまじめな顔で云った。本当だ、と念を押して云うので、乳母に聞いてみたらまったく根もないことだという。それでもなお「本当だ」と云い張り、おくみは、なさけないような気持になった、と云った。

「そういう時期があるものだ」と甲斐が云った、「想像力のつよい子供は、頭の中で考えたことを伝えるのに、言葉がみつからないから現実のように話す、私にも覚えがあるよ」

「でも嘘は困りますわ」

「嘘ではない、人を騙そうとするのは嘘だが、自分の感じたことを伝えようとするだけだ、そういうときはあまり咎めだてをしないで、聞きながしてやるほうがいい」