Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate
「お母さんは、乳母やに、一度あやまっておかないと気がすまないって、おっしゃって下さいましたわね。覚えていらっしゃるでしょう。」
と、鼻をつまらせた。そして、
「気がお強くって、あたしも、しょっちゅう叱られてばかりいましたけれど、そりゃあ、何でもよくおわかりの方でしたわ。坊ちゃんのことだって、ああして最後までお気にかけて、わざわざあたしをお呼び下すったんですものねえ。それに、何と言ったって、実のお母さんですわ。実のお母さんなればこそ、あたしのようなものにまで、あやまるなんておっしゃって下すったんですわ。血をひかない他人には、とても出来ないことですよ。」
お浜の言葉にさそわれて、亡くなった母の思い出にひたりきっていた次郎は、そこで、急に何かにつきあたったような気がした。
(乳母やは、今度の母さんのことで、何かいけないことを言おうとしているんだ。)
彼はすぐそう思って、落ちつかなかった。そして、お浜のつぎの言葉を待つのが、何だかいやだった。で、彼はとっさに言った。
「そんなこと、あたりまえじゃないか、乳母や。」
「あたりまえって言えば、あたりまえですけれど……」