Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.724 caratteri · 355 schermate
「次郎さん、今お帰り?」
と、道江は、しかし平気な顔をしている。
「たった今。僕、道具をうちに置くと、すぐ来たんだよ。」
「そう? あたしもついさっき来たばかりなの。」
「僕、知っていたんだ。道江さんがこちらの土手を通るのを見ていたんだから。」
「あら、そう?」
と、道江はちょっと眼を見張って、
「どこから見ていたの?」
「すぐうしろからさ。二丁ぐらいはなれていたかな。」
「あらっ!」
と、道江は顔を真赤にしながら、
「じゃあ、千ちゃんのいたずら見ていたのね。」
千太郎というのが馬田の名前なのである。
「いたずら? 僕、馬田がどんないたずらをしていたか知らないよ。僕は、馬田が橋のところに立って道江さんが走って行くのを眺めていたので、変だと思っただけさ。」
次郎は何でもないような調子でそう言いながら、メスをあてられるまえの、ひやひやした気持で道江の答えをまった。しかし、道江が答えるまえに、敏子が口をはさんだ。
「千ちゃんのいたずらは、きょうだけではないらしいの。」
そう言って彼女が説明したところによると、馬田のいたずらは、もうきょうで三度目で、いつも一心橋の向こうの土手のかげにねころんだりして、道江の帰りを待伏せている。