Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.724 caratteri · 355 schermate
五 道江をめぐって
今度のことがすっかり片づくまでは、これからも君は来ない方がいいよ。君ばかりじゃない、新賀や梅本やそのほかの連中も同じだ。君のお父さんにも、当分お出で下さらんように言っておいてくれたまえ。」
「どうしてです。」
次郎は、まだ涙のすっかりかわききれない眼を見はってたずねた。
「今の時代は、やたらに犬ばかりがふえて行く時代だからね。実は、この家のまえあたりにも、きょうの昼頃から背広を着た犬がうろつき出したらしいよ。」
朝倉先生の声は低かったが、めずらしく憤りにみちた声だった。次郎は、さっき自分が街角に立って考えている時、変にじろじろ自分の顔を見て、二度ほどそばを通りぬけた四十近くの男のことを思い起した。
五 道江をめぐって
次郎は、まもなく、せきたてられるようにして、朝倉先生の門を出た。門を出るとすぐ、彼はまえうしろを見まわした。それから、曲り角のところまで来て左右を見、もう一度朝倉先生の門の方をふりかえったが、来しなに自分の顔をのぞいた男は、もうどこにも見えなかった。
日はまだかなり高かった。かわいた砂地の照りかえしが眼にぎらついて、頭のしんが痛いようだった。