Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.724 caratteri · 355 schermate
」
次郎は腹の底から俊三に対する憎しみの情がわいて来るのを感じた。それは彼が子供のころ俊三に対して抱いていた敵意とはまるで質のちがった、新しい憎しみの情だった。
彼はその感情をおさえるために、ひらいた本の同じページを見つめたまま、蚊にさされながら、永いこと机によりかかっていなければならなかった。そしてやっと気持をおちつけ、このごろには珍しいほどの長い日記を書いたが、その中にはつぎのような一節があった。
*
「……僕は今、無数の敵に囲まれているような感じがする。そのために僕の内部には、子供のころの闘争心や、策謀や、偽善や、残忍性や、その他ありとあらゆる悪徳が、ふたたび芽を出しはじめたらしい。しかも、僕は、そうした悪徳に身を任せることに一種の快感をさえ覚えはじめている。恐ろしいことだ。僕はこの誘惑に打克たなければならない。もし僕がこの誘惑に打克つことが出来ないなら、僕は、父の子として、朝倉先生の教え子として、これまで持ちつづけて来た誇りと喜びとを捨ててしまわなければならないだろう。それは僕の全生命を捨てることを意味するのだ。
だが、僕は果してこの誘惑に打克つことが出来るのか。