Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.781 caratteri · 235 schermate
ほんとうに行き詰ったら、祖母の言うとおり、学校をよしてどんな仕事でもするんだ、と強いて考えてみたが、気持は少しも落ちつかなかった。そして、なぜか、お浜のことが思い出されてならなかった。
今日は起きるとすぐ、お浜に手紙を書いた。やはり店のことを知らした方がいいと思ったからだ。お浜はびっくりするかも知れない。しかし、僕がいよいよ学校をやめなければならないようになってから知らせたら、なおびっくりするだろう。
今日も父は在宅。朝から寝ころんで、やはり本を読んでいる。何の本かと思ってのぞいて見たら、養鶏の本だった。どうしてそんな本を読むのか、たずねてみたかったが、父が一日にこりともしないので、その機会がなかった。みんなが口をききあわないこと昨日に同じ。祖母は何度も父の枕元をとおって仏間に行き、鉦をならして念仏を唱えたりした。
祖母が仏間に行く気持は決して純粋なものではない。しかし、それだけに、かえってあわれに思える。そうは思えるが、僕自身から進んで慰める気にはならない。強いて慰めてみても僕の言葉はきっと嘘になるだろう。
愛から出た嘘ならいい。しかし嘘の愛は僕にはもうたえがたい苦痛だ。