Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.443 caratteri · 398 schermate
「それは、かなりひびいただろうと思います。」
「私の話も、朝倉先生の話も、すっかり嵐に吹きとばされた形だったが、こんなふうだと、今度の塾生は、いつもとは少し調子がちがうかもしれないね。」
「ええ、それはもう覚悟しています。」
「これからは、この塾の生活も、だんだんむずかしくなって来るだろう。しかし、いい試練だね。われわれにとってはむろんだが、塾生たちにとっても、こうした摩擦は決して無意味ではない。どうせ将来は、もっと大きなスケールで経なければならない試練だからね。」
次郎は眼をふせて、畳の一点を見つめているきりだった。
「軍人のああした話に、盲目的に引きずられるのも険呑だが、感情的に反発するのも険呑だ。時代はそんな反発でますます悪くなって行くだろう。あんな話を、相手にしない、――といっては語弊があるが、冷静に批判しながら聞くような国民がもっと多くならないと、日本は助からないよ。」
次郎はやはり眼をふせたまま、
「ぼく、さっきからそんなようなことを考えていたところなんです。」
「そうか。うむ。」
と、田沼先生は大きくうなずいたが、
「しかし、理屈ではわかっていても、実際問題となると、またべつだからね。