Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.443 caratteri · 398 schermate
」
次郎は大河の顔を見ると、救われたような、こわいような、変な気になりながら、つとめて平静をよそおってたずねた。
「ええ、べつに出る用もなかったので……」
「でも、道案内によく引っぱり出されなかったことですね。」
「やんやと頼まれましたが、断わることにしました。」
「うらまれやしませんか。」
「ふ、ふ、ふ。」
大河はとぼけたような顔をして、笑った。
「どの方面の希望者が多かったんです。」
「たいていは二重橋を見て、それから銀座に行きたがっていたようでした。」
「相変わらずですね。」
「いつもそうなんですか。」
「ええ、最初の日曜は、きまってそんなふうです。」
「二重橋のつぎが、銀座というのは、しかし、おもしろいじゃありませんか。」
「ええ、ちょっと皮肉ですね。しかし、今の日本の青年としては、おそらくそれが正直なところでしょう。」
二人はいつの間にか、火鉢を中にしてすわりこんでいた。大河はまじめな顔をして、
「それは、しかし、青年ばかりではないでしょう。本職の軍人だって、正直なところは、たいていそんなものですよ。銀座みたいなところの魅力は、超時代的というか、本能的というか、とにかく人間の本質にこびりついたものでしょうから、非常時局のかけ声ぐらいでは、どうにもならないでしょう。