Classici giapponesi con furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Leggi 比島投降記 (ひとうとうこうき) di 石川 欣一 (いしかわきんいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 68.333 caratteri · 134 schermate
ツバという酒を持って来て、これはフィリピン・ビールだから飲んで下さいといったが、将校たちは飲まず、なにやかやと話していた。すると一人の、目付の鋭い比島人が僕の横に来て「お前は日本人か」と聞いた。実はさっきから、仲間同士で、ちょいちょいこっちを見ては何か喋舌っているので、ははん、僕の噂をしているなと思っていたのだ。「そうだ」と答えると、「階級は何だ?」と聞く。「僕は階級は持たない。シヴィリアンだから」というと「何故日本人は捕虜になると皆シヴィリアンだというのか」と、勢いこんで訊問した。これには僕も困った。この比島の愛国者が日本人を何人捕虜にしたか知らぬが、僕自身一度しか捕虜になっていない上に、事実軍人ではないのだから、シヴィリアンだといった迄のことである。仕方がないから黙っていると、今度は「お前は比島に何年いたか」、「三年」、「三年もいれば比島語が出来る筈だ。出来るか?」僕は完全に兜を脱いだ。まったく、その通りなのである。僕は昭和十八年の一月十八日マニラに着き、一月二十九日にタガログ語の先生に紹介され、二月一日から毎週三回稽古をしたのだが、どうも怠者で、ろくろく勉強をしなかったので、平易な日常会話すら出来ないのである。