Classici giapponesi con furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Leggi 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.609 caratteri · 362 schermate
「そのうめえ口が、刀鍛冶の焼金まで熔かしたか。よくもうぬあ、師匠の山浦清麿をだましたな。やいッ、そして数年前に、てめえの、ちょろまかした師匠の金を、おれが盗んだと告げ口をしやがったな」
「百さん……私にはさっぱりわけが分らないが」
「おらあ元、四谷の山浦清麿の弟子、てめえに罪をなすられて、破門された百之介だ、うぬあ、その時の、柳ばしの小稲だろう」
「あッ……」
「ざまをみやがれ、売女!」
とびかかると、お稲は、ばたばたと、走りだして、喉ぶえも裂けそうな声で、
「ひッ――人殺しっ」
「やかましい」
襟がみをつかんで、百は、女のからだを、ふり廻した。らんらんとした眼をかがやかして――炎のような息をついて――露の中をずるずると、お稲のからだを引きずった。
野中にみえる一本の喬木の根へ、百は、女のからだをしばりつけた。お稲は、媚態と狂態のかぎりをつくして、百に、命をたすけてくれと泣いてさけんだ。どんな辛抱も――どんなことでも、するからといった。
百は、さばさばと笑って、
「くそでもくらえ。おらあ、これから、てめえを自由にするより、もっと、もっと、胸のすくことをやるんだ。