Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぬまふじん

沼夫人

泉 鏡花

Leggi 沼夫人 (ぬまふじん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 78 schermate

Aozora Bunko

六

断念めるつもりにしたけれども、その癖やっぱり、頻りに臭う。湿っぽい、蒼くさい、汗蒸れたのが跳廻る。

「ソレまた……」

気にすると、直ぐに、得ならず、時めく、黒髪の薫が颯と来た。

「また夢か。」

いつまで続く、ともうげんなりして、思慮が、ドドドと地の底へ滅入り込む、と今度は、戸棚の蔽が纏って、白い顔にはならない替りに、窓の外か、それとも内か、扉の方角ではなしに、何だか一つ、変な物音……沈んだ跫音。

六

その音は――今しがた聞え出した、何かを漏れて、雫の落ちる不快な響が、次第に量を増して、それの大きくなったもののようでもあるし、新たに横合から加わったもののようでもある。

何しろ、同一方角に違いない。……開けて寝た窓から掛けて、洋燈がそこで消えた卓子の脚を伝って床に浸出す見当で、段々判然して、ほたりと、耳許で響くかとするとまた幽になる。幽になって外の木の葉を、夜露が伝うように遠ざかる。――が、絶えたり続いたりと云うよりは、出つ入りつ、見えつ隠れつするかに聞えて、浸出すか、零れるか、水か、油か、濡れたものが身繕いをするらしい。

しばらく経つと、重さに半ば枕に埋んで、がっくりとした我が頭髪が、その※……ともつかぬ水分を受けるにや、じとりと濡れて、粘々とするように思われた。