Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぬまふじん

沼夫人

泉 鏡花

Leggi 沼夫人 (ぬまふじん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 78 schermate

Aozora Bunko

」

「そう一概に言ってくれる事はない。どうせ現在お目に懸けた臆病です。それを弁解するんじゃないが、田圃だの、水浸しだの、と誇大に妄想した訳ではありません。

実際、そんな目に逢って、一生忘れられん思をした事があるからだよ。いや、考えても身の毛が弥立つ。」

フイと起返って、蚊帳の中をしたが、妙に、この男にばかり麻目が蒼い。

医師は落着いて、煙を吹かして、

「どこで野宿をした時だ、今度の旅でか。」

「ううむ。」

と深く頭を振って、

「いつかの時さ、あの一件の……」

と言懸けて、頬のこけた横顔になって打背いた。――小松原の肩のあたりから片面の耳朶かけて、天井の暗さが倒に襲ったのを、熟と見ながら、これがある婦人と心中しようとした男だと頷いた。

当時その風説は、友達の間に誰も知らぬものはなかったが、医学士は、折から処を隔てていたので、その場合何事にも携わらなんだ。もう三年か四年かと、指を折るほど前に、七十五日も通越したから、更めて思出すほどでもなし、おいそれと言に従いて、極りの悪い思をさせるでもなかろう。で、一向無頓着に、

「何だい、いつかの一件とは?」

「面目次第も無い件さ。