Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぬまふじん

沼夫人

泉 鏡花

Leggi 沼夫人 (ぬまふじん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 78 schermate

Aozora Bunko

私は凭懸るものもなく、ぼんやり暗の中に立ったがね、あの人は、と思うと、目の下に、黒髪が俤立つ。

(腰を掛けたんですか。)

(ええ、)と云う。

(濡れていましょう。)

(ええ、何ですか、瀬戸物の欠がざくざくして、)

私は肚胸を突いたんだ。

(不可い! 貴女、そりゃ塵塚だ。)

と云う内にも、襤褸切や、爪の皮、ボオル箱の壊れたのはまだしもで、いやどうも、言おうようのない芥が目に浮ぶ。

(でも水の上よりは増ですわ。)

と断念めたように、何の不足もないらしくさっぱりと言われたので、死なば諸ともだ、と私もどっかり腰を落した。むっくり持上って、跡は冷たい。犬の死骸じゃなかろうかと、摺抜けようとしたけれども、頬擦るばかりの鬢の薫に。……

ここで、真に相済まない、余計な処へ誘ったばかりで、何とも飛んだ目にお逢わせ申す、さぞ身体に触りましょう、汚させ、濡れさせ、跣足にさせ、夜露に打たせて……羅綾にも堪えない身体を、と言おうとして、言いようがないから、

(荒い風にもお当りなさらない。)

とヘマを言って、ああ厭味だと思って、冷汗を掻いた処を、

(お人が悪いよ、子持だと思って、)

これにまたヒヤリとしたように覚えている。