Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぬまふじん

沼夫人

泉 鏡花

Leggi 沼夫人 (ぬまふじん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 78 schermate

Aozora Bunko

二十七

とばかり言う。

「まあ、何にもおっしゃらないで。何事も、あの、内へ行ってから、ゆっくりお話をしましょうね。」

と軽く頷く、頬がつくと、襟の処が薄く曇って、きらきらと露が落ちた。

二十七

その涙を払う状に、四辺を見つつ、

「御覧なさい、可厭な。どこより前に、沼の上が暗くなりました。これが、あの田の水の源なんですもの。またいつかの時のような事があっては悪い。」

と調子はおっとり聞こえたが、これを耳にすると斉しく、立二は焼火箸を嚥んだように突立った。

ト、佳い薫が、すっと横を抜けて通って、そのまま後姿で前へ立って、尋常に汀を行く。……お太鼓の帯腰が、弱々と、空から釣ったように、軽く、且つ薄い。

そこへ、はらはらとかかる白絽の袂に、魂を結びつけられたか、と思うと、筋骨のこんがらかって、捌のつかないほど、揉み立てられた身体が、自然に歩行く。……足はどこを踏んだか覚えなし。

しばらく行くと、その人が、偶と立停って、弱腰を捻じて、肩へ、横顔で見返って、

「気をつけて頂戴、沼の切れ目よ。」

と案内する……処に……丸木橋が、斧の柄の朽ちた体に、ほろりと中絶えがして折込んだ上を、水が糸のように浅く走って、おのれ、化ける水の癖に、ちょろちょろと可憐やか。