Classici giapponesi con furigana
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しおかぜ
潮風
豊島 与志雄
Leggi 潮風 (しおかぜ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.018 caratteri · 25 schermate
一年半ばかりでそこを逃げ出して、東京で折箱屋をやってる伯母を頼ってきた。伯母の家で、五年間手荒い仕事に骨身おしまず働いた。それから伯母のところがうまくいかず、店をしまうことになった時、彼女は女中奉公に出た。小さな請負師の家で、給金もろくに貰えなかった。彼女は自ら周旋屋にかけこんで、伯母の懇意だった人に身許引受人となってもらい、二三転々して、そして只今の芳枝さんの家に来たのだった。彼女は気は利かないが、その代り正直だった。何か荒々しいものを内にもっていて、そして表面うすぼんやりしていた。
彼女は男のように腕組みをして、火鉢の上にかぶさりて、じっと考えこんでいた……。
俺は彼女のその瞑想を尊敬して、ただ見守っていてやった。
二時頃だったか、二階から足音がおりてきた。静かな足音だった。片野さんと芳枝さんだ。二人とも黙っていた。芳枝さんは裏口の戸をあけた。
「じゃあ、きっとね。」
「大丈夫。」
だが、片野さんは力なさそうだった。芳枝さんの手を握りしめておいて、外に出るとすぐにうなだれて、考えながら歩いていった。
芳枝さんは戸締りをして、二階に上りかけたが、急に足をとめて、板場の方をすかし見た。