Classici giapponesi con furigana
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ぼくとうきだん
濹東綺譚
永井 荷風
Leggi 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.666 caratteri · 114 schermate
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草稿をつくるのと、蔵書を曝すのとで、案外いそがしく、わたくしは三日ばかり外へ出なかった。
残暑の日盛り蔵書を曝すのと、風のない初冬の午後庭の落葉を焚く事とは、わたくしが独居の生涯の最も娯しみとしている処である。曝書は久しく高閣に束ねた書物を眺めやって、初め熟読した時分の事を回想し時勢と趣味との変遷を思い知る機会をつくるからである。落葉を焚く楽みは其身の市井に在ることをしばしなりとも忘れさせるが故である。
古本の虫干だけはやっと済んだので、其日夕飯を終るが否やいつものように破れたズボンに古下駄をはいて外へ出ると、門の柱にはもう灯がついていた。夕凪の暑さに係らず、日はいつか驚くばかり短くなっているのである。
わずか三日ばかりであるが、外へ出て見ると、わけもなく久しい間、行かねばならない処へ行かずにいたような心持がしてわたくしは幾分なりと途中の時間まで短くしようと、京橋の電車の乗換場から地下鉄道に乗った。若い時から遊び馴れた身でありながら、女を尋ねるのに、こんな気ぜわしい心持になったのは三十年来絶えて久しく覚えた事がないと言っても、それは決して誇張ではない。