Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼくとうきだん

濹東綺譚

永井 荷風

Leggi 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.666 caratteri · 114 schermate

Aozora Bunko

九

」

「それは大丈夫。あの子はお金持だもの。何しろ玉の井御殿の檀那って云うのがパトロンだから。」

「それは一体何だ。」

「玉の井で幾軒も店や家を持ってる人よ。もう七十位だわ。精力家よ。それア。時々カフエーへ来るお客だったの。」

「ふーむ。」

「わたしにもおでん屋よりか、やるなら一層の事、あの方の店をやれって云うのよ。店も玉も照ちゃんが檀那にそう言って、いいのを紹介するって云うのよ。だけれど、其時にはわたし一人きりで、相談する人もないし、わたしが自分でやるわけにも行かないしするから、それでおでん屋かスタンドのような、一人でやれるものの方がいいと思ったのよ。」

「そうか、それであの土地を択んだんだね。」

「照ちゃんは母さんにお金貸をさせているわ。」

「事業家だな。」

「ちゃっかりしてるけれども、人をだましたりなんかしないから。」

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九

九月も半ちかくなったが残暑はすこしも退かぬばかりか、八月中よりも却て烈しくなったように思われた。簾を撲つ風ばかり時にはいかにも秋らしい響を立てながら、それも毎日のように夕方になるとぱったり凪いでしまって、夜はさながら関西の町に在るが如く、深けるにつれてますます蒸暑くなるような日が幾日もつづく