Classici giapponesi con furigana
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むざんやな
無惨やな
久生 十蘭
Leggi 無惨やな (むざんやな) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7601 caratteri · 16 schermate
三
雅楽頭もそれをしおに奥へ入った。
翌々日、蔵人の長屋へ見事な鞍置馬が一匹届いた。この馬は雅楽頭の乗料で、雅楽頭から和解のしるしとして贈ったものだった。
蔵人は御前に罷り出て、ねんごろにお礼を申し述べたが、いぜんとして楽しまぬ顔で、うちとけたような気配は、いささかも感じられなかった。
三
姫路の蔵人の居宅は曲輪の西、船場御坊というところにあって、庭の地境になるところを夢前川のつづきが流れている。
玄関は十畳敷、書院は三十畳敷で、間数が多く、江戸では、千石取りの邸でも及ばないような広大もない構えであった。
姫路へ移ってからも、蔵人は、ただのいちども晴れやかな顔を見せたことはなかった。日の出前に城に上り、浅黄木綿のぶっさきの羽織のうしろから、山鳥の尾のように大刀の鐺をつきだし、思入れ深く、姫山につづく草むらを歩きまわっていた。この間、なにを考え、なにを目論んでいたか、他人のあずかり知らぬことだが、姫路に入部したその夜、蔵人は江戸詰家老を勤めていた伜の内蔵介を手にかけている。
内蔵介は雅楽頭の嘱目をうけ、若年ながら、高千石をもって江戸詰家老に申しつけられたが、おいおい遊蕩に身が入り、不行跡な振舞が人の口にのぼるようになった。