Classici giapponesi con furigana
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ばくだんたいへいき
爆弾太平記
夢野 久作
Leggi 爆弾太平記 (ばくだんたいへいき) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.653 caratteri · 98 schermate
上って来た奴は片っ端から二等室に担ぎ込んで水を吐かせる。摩擦する。人工呼吸を施すなどして、ヤットの事で取止めた頭数を勘定してみると、警官、役人、有志、人夫を合わせて、七名の人間が死んでいる。そのほかに芸妓二名の行方がわからない……という事が判明した。これは男連中が腕力に任せて先を争った結果で、同時に女を見殺しにした事実を雄弁に物語っているのだ。お酌や仲居が一人も飛込まないで助かったのは、お客や姉さん等に対して遠慮勝ちな彼等の平生の癖が、コンナ場合にも出たんじゃないかと思うがね。イヤ。冗談じゃないんだ。危急の場合に限って平生の習慣が一番よく出るもんだからね。
ところがその中に西寄りの北風が吹き初めて、急に寒くなったせいでもあったろうか。死骸を並べた二等室の広間に青い顔をして固まり合っていた、生き残りの連中が騒ぎ初めた。当てもないのに立ち上りながら異口同音に、
「……帰ろう帰ろう。風邪を引きそうだ……」
「船長を呼べ船長を呼べ……」
とワメキ出したのには呆れ返ったよ。イクラ現金でもアンマリ露骨過ぎる話だからね。片隅で屍体の世話を焼いていた丸裸の来島運転士も、これを聞くと顔色を変えて立上ったもんだ。