Classici giapponesi con furigana
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ちちかえる
父帰る
菊池 寛
Leggi 父帰る (ちちかえる) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7615 caratteri · 16 schermate
新二郎 ほくろがあったら名乗る心算でいたのやって。
母 まあ、そりゃ杉田さんの見違いやろうな。同じ町へ帰ったら自分の生れた家に帰らんことはないけにのう。
賢一郎 しかし、お父さんは家の敷居はちょっと越せないやろう。
母 私はもう死んだと思うとんや、家出してから二十年になるんやけえ。
新二郎 いつか、岡山で会った人があるというんでしょう。
母 あれも、もう十年も前のことじゃ。久保の忠太さんが岡山へ行った時、家のお父さんが、獅子や虎の動物を連れて興行しとったとかで、忠太さんを料理屋へ呼んで御馳走をして家の様子をきいたんやて。その時は金時計を帯にさげたり、絹物ずくめでえらい勢いであったいうとった。それからはなんの音沙汰もないんや。あれは戦争のあった明くる年やけに、もう十二、三年になるのう。
新二郎 お父さんはなかなか変っとったんやな。
母 若い時から家の学問はせんで、山師のようなことが好きであったんや。あんなに借金ができたのも道楽ばっかりではないんや。支那へ千金丹を売り出すとかいうて損をしたんや。
賢一郎 (やや不快な表情をして)おたあさんお飯を食べましょう。