Classici giapponesi con furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Leggi 痴人の愛 (ちじんのあい) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 179.399 caratteri · 353 schermate
尤も歳は皆私より若そうで、三十台と思われる紳士はたった一人しかありません。その男はモーニングを纏って、金縁の分の厚い眼鏡をかけて、時勢おくれの奇妙に長い八字髭を生やしていて、一番呑込みが悪いらしく、幾度となく夫人に“No good”とどやしつけられ、鞭でピシリと喰わされます。と、その度毎にニヤニヤ間の抜けた薄笑いをしながら、又始めから「ワン、トゥウ、スリー」をやり直します。
ああ云う男が、いい歳をしてどう云うつもりでダンスをやる気になったものか? いや、考えると自分も矢張あの男と同じ仲間じゃないのだろうか? それでなくても晴れがましい場所へ出たことのない私は、この婦人たちの眼の前で、あの西洋人にどやしつけられる刹那を思うと、いかにナオミのお附き合いとは云いながら、何だかこう、見ているうちに冷汗が湧いて来るようで、自分の番の廻って来るのが恐ろしいようになるのでした。
「やあ、入らっしゃい」
と、浜田は二三番踊りつづけて、ハンケチでにきびだらけの額の汗を拭きながら、その時傍へやって来ました。
「や、この間は失礼しました」
と今日はいささか得意そうに、改めて私に挨拶をして、ナオミの方を向きながら、