Classici giapponesi con furigana
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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
Leggi 白蟻 (しろあり) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.099 caratteri · 106 schermate
序、騎西一家の流刑地
それゆえ読者諸君は、女主人公滝人の絶望には、真黒な三十二音符を……、また、力と挑戦の吐露には、急流のような、三連音符を想像して頂きたいと思う。
なお、本篇の上梓について、江戸川・甲賀・水谷の三氏から、推薦文を頂いたことと、松野さんが、貧弱な内容を覆うべく、あまりに豪華な装幀をもってせられたことに、感謝しておきたいと思う。
一九三五年四月
世田ヶ谷の寓居にて
著者
序、騎西一家の流刑地
秩父町から志賀坂峠を越えて、上州神ヶ原の宿に出ると、街を貫いて、埃っぽい赤土道が流れている。それが、二子山麓の、万場を発している十石街道であって、その道は、しばの間をくねりくねり蜿々と高原を這いのぼっていく。そして、やがては十石峠を分水嶺に、上信の国境を越えてゆくのだ。ところが、その峠をくだり切ったところは、右手の緩斜から前方にかけ、広大な地峡をなしていて、そこは見渡すかぎりの荒蕪地だったが、その辺をよく注意してみると、峠の裾寄りのところに、わずかそれと見える一条の小径が岐れていた。
その小径は、毛莨や釣鐘草や簪草などのひ弱い夏花や、鋭い棘のある淫羊、空木などの丈低い草木で覆われていて、その入口でさえも、密生している叢のような暗さだった。