Classici giapponesi con furigana
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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
Leggi 白蟻 (しろあり) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.099 caratteri · 106 schermate
吸盤が触れあい茎棘が刺しかわされてしまうので、その形相すさまじい噛みあいの歯音は、やがて音のない夢幻となって、いつか知らず色のなかに滲み出てくるのだった。
わけても、鬼猪殃々のような武装の固い兇暴な植物は、ひ弱い他の草木の滴までも啜りとってしまうので、自然茎の節々が、しだいに瘤か腫物のように張り膨らんできて、妙に寄生的にも見える、薄気味悪い変容をところどころ見せたりして、すくすくと巨人のような生長をしているのだった。したがって、鬼猪殃々は妙に中毒的な、ドス黒く灰ばんだ、まるで病んだような色をしていた。しかも、長くひょろひょろした頸を空高くに差し伸べていて、それがまた、上層で絡みあい撚りあっているので、自然柵とも格檣ともつかぬ、櫓のようなものが出来てしまい、それがこの広大な地域を、砦のように固めているのだった。その小暗い下蔭には、ひ弱い草木どもが、数知れずいぎたなく打ち倒されている。おまけに、澱みきった新鮮でない熱気に蒸したてられるので、花粉は腐り、葉や幹は朽ち液化していって、当然そこから発酵してくるものには、小動物や昆虫などの、糞汁の臭いも入り混って、一種堪えがたい毒気となって襲ってくるのだった。