Classici giapponesi con furigana
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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
Leggi 白蟻 (しろあり) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.099 caratteri · 106 schermate
そして、一度憶えた甘味の舌触りが、おそらくあの烈しい生気と化していて、その靡くところは、たといどのような生物でも圧し竦められねばならないとすると、現在緩斜の底に棲む騎西一家の悲運と敗惨とは、たしかに、人と植物の立場が転倒しているからであろう。いや、ただ単に、その人達を喚起するばかりではなかった。わけても、その原野の正確な擬人化というのが、鬼猪殃々の奇態をきわめた生活のなかにあったのである。
あの鬼草は、逞しい意欲に充ち満ちていて、それはさすがに、草原の王者と云うに適わしいばかりでなく、その力もまた衰えを知らず、いっかな飽くことのない、兇暴一途なものであった。が、ここに不思議なことと云うのは、それに意志の力が高まり欲求が漲ってくると、かえって、貌のうえでは、変容が現われてゆくのである。そして不断に物懶いガサガサした音を発していて、その皮には、幾条かの思案げな皺が刻まれてゆき、しだいに呻き悩みながら、あの鬼草は奇形化されてしまうのであった。
明らかに、それは一種の病的変化であろう。また、そのような植物妖異の世界が、この世のどこにあり得ようと思われるだろうが、しかし、騎西滝人の心理に影像をつくってみれば、その二つがピタリと頂鏡像のように符合してしまうのである。