Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

Leggi 白髪鬼 (はくはつき) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.046 caratteri · 224 schermate

Aozora Bunko

わしはそれで充分満足していた。外に楽しみを求める気は起らなかった。

わしらはよく、女というものについて論じ合った。わしは友達の間で、女嫌いの変物の様に云われていたが、川村は決してそうではなかった。寧ろ女性の讃美者であった。

川村が女のことを云い出すと、わしは苦い顔をした。

「女なんて、男のあばら骨一本にしか価しないのだよ。あいつらは高尚な思想も分らなければ、優美な芸術も理解しない、劣等種族に過ぎないのだよ」

わしは昔の哲学者達が、女性に加えた悪罵の数々を、長々と弁じ立てるのが常であった。

ところが、ところがだ。

人の心程当にならぬものはない。その女嫌いの、変物の、このわしが、恋をしたのだ。フフフ……、恋をしたのだ。恥かしいことだが、その娘を一目見たばかりで、わしの哲学も、わしの人生も、何もかも朝日の前の雪の様に、あと方もなく溶けうせてしまったのだ。

名前は瑠璃子というのだが、中国筋の零落士族の娘で、当時十八歳、咲きそめた紅梅の様に、匂やかにも美しい乙女であった。それが、女学校を卒業した記念か何かで、母親に連れられて、S市を見物に来ているのを、わしは散歩の途中で、深くも見染めてしまったのだ。