Classici giapponesi con furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Leggi 真珠夫人 (しんじゅふじん) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 289.296 caratteri · 578 schermate
そう考えて来ると、瑠璃子は自分の胸一つには、収め切れない不安が湧いて来て、進まないながら、父の部屋へ、上って行かずにはいられなかった。
「うむ! 直ぐ法律上の手段に訴える!」
父はそう云って、腕を拱いて、遉に抑え切れない憂慮の色が、アリ/\と眉の間に溢れた。
「執達吏を寄越すと云うのだな。あはゝゝゝゝ、まかり違ったら、競売にすると云うのかな。それもいゝ、こんなボロ屋敷なんか、ない方が結句気楽だ! はゝゝゝゝ。」
父は、元気らしく笑おうとした。が、それは空しい努力だった。瑠璃子の眼には、笑おうとする父の顔が、今にも泣き出すように力なくみじめに見えた。
「何うにかならないものでございましょうか、ほんとうに。」
父の大事などには、今迄一度も口出しなどをしたことのない彼女も、恐ろしい危機に、つい平生のたしなみを忘れてしまった。
父も、それに釣り込まれたように、
「そうだ! 本多さえ早く帰っておれば、何うにかなるのだがな。八月には帰ると云うのだから、此の一月か二月さえ、何うにか切り抜ければ――」
父は、娘に対する虚勢も捨てたように、首をうな垂れた。そうだ、父の莫逆の友たる本多男爵さえ日本におればと、瑠璃子も考えた。