Classici giapponesi con furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Leggi 石狩川 (いしかりがわ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 253.535 caratteri · 506 schermate
自分なんかどうなってもいいのだ。何も知らない家族や同輩のために自分が犠牲になって反対しなければならないのだ。鬢の毛がぶるぶる顫えて来た、握りしめた刀の鞘がぬるぬる汗ばむのを感じた。呼吸づかいがあらくなっていた。せき込んで、喰ってかかるように云った。
「阿賀妻さん!」
「何ですか」
阿賀妻の口はそう動いて、それだけで終っていた。聞きとれぬくらい低い声で、どっと押しよせて来る言葉の怒濤をくぐりぬけ、けろッとした表情であった。彼は来訪者のうえに漠とした視線を置いたが、注意がそこにあるとは見えないのだ。
安倍誠之助は侮辱を感じた。かッとなって身体をゆり動かした。
「こん夜この時刻に、たいせつな葬いの席をはずして参上したわれらは!」
そこまで云った彼はまるで言葉に噎せ返るように咳きこんだ。
「そ、そうでござろう」と、彼は青筋の立った顔を苦しそうにふりながらどもった。「な、なぜ云わない?」と背後にいるものを詰責した。「ぶ、ぶ礼講だ、みんな、云いたいことが、あるんだ、なぜ、云わない」
変らない表情で阿賀妻は云い添えた。
「どうぞ」
誰かの発言を待つためにしんと耳をすました。